長期主義(ちょうきしゅぎ、英語: Longtermism)は、遠い未来に良い影響を与えることが、現代における重要な道徳的優先事項であるとする倫理観である。効果的利他主義における重要な概念であり、人類に対する存亡リスクを低減しようとする取り組みの主要な動機となっている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%95%B7%E6%9C%9F%E4%B8%BB%E7%BE%A9
すんごいざっくり言うと、1万年後の未来も人類が繁栄するように現代で努力しようという話。
Elon Muskなんかは、何れ太陽が膨張して地球環境が生物がすむのに適さなくなるから恒星間移動を実現できるように私用みたいなことを言ってる。
今はその手前の段階の火星への移住(惑星間移動)の実現に向けて頑張っている感じ。
ただ、そこで気になるのはエネルギー問題どうすんねんという。
今現在の文明は完全に化石燃料に頼り切っているわけで、しかも化石燃料は確実に尽きる。
言い換えると我々は次世代が使う分のエネルギー資源を一切残さずに使い切ることが約束された世代でもあるわけで、長期主義的には大きな問題なのでは?
(またドクターストーンでも類似の問題が指摘されていて、人類に発掘可能な資源は殆ど取りつくされてしまいレアメタルなどの希少な物質は後世では利用できない可能性がある)
はやりの再生可能エネルギーで賄えるかというと、おそらく無理。
何故かと言えば、再生可能エネルギーも化石燃料も元をたどれば太陽のエネルギーなわけだが再生可能エネルギーは地球に降り注ぐ太陽エネルギーの数%を電力に変える取り組みなのに対し、化石燃料は何万年単位で蓄えられた太陽エネルギーを取り出している。
どう考えても計算が合わない。現状の文明の消費エネルギーを大きく削減したうえで、再生可能エネルギーの変換効率を劇的に挙げる必要があるわけだが実際は世界のエネルギー消費量は増えてるし変換効率には上限がある。
この上限も100%とかじゃなくて太陽光パネルなんかは理論的に30%くらいが上限になる(植物とかと違って太陽光パネルを作ること自体に多大なエネルギーを使用するのもきつい)
現在の文明は、そうしたエネルギーの大量消費によって支えられているわけだが未来はエネルギーをほとんど使えない可能性がある。
そうすると長期主義的にはエネルギー問題を早急に解決すべき課題として認識するのが正しいように思うが、Elon Muskはむしろ宇宙開発という資源的には全くの無駄というか大きなロスを生む事業に熱中している。
自分は別に長期主義者じゃないので辞めろとは言わないが、この辺の問題をどう認識しているのかが気になる。
再生可能エネルギーは無理筋なので現実路線で行くと核融合炉なのだが、こっちもうまく行ってない。
試算によると、およそ100年後には化石燃料は完全に尽きるらしいので、それまでに核融合炉を実現するのが長期主義としては最優先事項だと思うのだが、そういう感じもしない。
長期主義に同意できないのは1万年後の未来に確度の高い予想を行う事は無理なので、そんな先のことを考慮しても無意味だから。
というか100年程度でさえ見通せない現生人類が1万年も先の事を考えるだけ無駄でしょ。
じゃあ次に、単純に今いいモノを考えて後世に残す(例えば奴隷制の廃止とか)場合を想定すると別に長期主義じゃなくていい。
現代の倫理観、現代の状況だけ加味して判断して施行すればいいわけで別にたいそうな長期的な見通しは必要ない。
そして何より、後世の人のためになるだろうなぁと思って残したものが良い影響を及ぼすのかが謎なのと、ソレが良い影響になるか悪い影響になるかは判定できないし判定したところで改善も不可能であるという点が大きい。
例えばアメリカの大学が学力至上主義にしたのは「金持ちの貴族の子供だけが名門大学に入るのはおかしいだろう」ということで学力を重視したが結果として現代のアメリカの名門大学は「十分な寄付が出来て、学力向上のために高い金を払える金持ちの子供だけが入れる大学」になった。しかも、そうした金持ちの子供には「平等な社会の中で君たちの努力のみで勝ち取った勝利」マークもついてくる。
別に学力至上主義を批判したいわけでも、貴族制の方が良かったとも言いたいわけではなく、後世のためを思って変えた制度が結局意味をなさない(良い方に働かない)という事が往々にしてあるわけで、後世への良い影響を期待して物事を考えても意味がないという点を指摘したい。
(正直言うと平等をうたっておきながら、まったく平等ではないレースをさせる後者の方が仕組みとして良くないのではと思ったりはしている)
刹那的な生き物、人間として刹那で判断して生きていくしかないのでは。